The previous night of the world revolution5~R.D.~
「あーいたたたた…」

「…」

ダイニングに入ってみると、そこには惨劇が広がっていた。

セカイさんは床に尻餅をついて、打ち付けたらしいお尻を撫でていた。

その横には、引っくり返った椅子と、雑巾。

どうやら、高いところを拭き掃除しようとして、すっ転んだらしい。

「大丈夫ですか?」

「う、うん…」

セカイさんに大きな怪我がなかったのは、幸いだが。

「…」

…酷いことになっている。

床に、割れた皿の破片が雨あられのように散らばり。

新品のカーペットに、醤油やソースや砂糖や、調味料の数々がシミを作り。

同じく新品だったはずのテーブルクロスが破れ、ぺろーん、とテーブルの端に垂れている。

…空き巣でも入ったんだろうか。

今、この一瞬で。

「…何事ですか。これは一体」

「え…えへへ…」

ぽりぽり、と頭を掻くセカイさん。

何でも笑って誤魔化そうとするのは、セカイさんの悪いところでもあり、可愛いところでもある。

この惨劇を見て、想像するには。

セカイさんは、多分椅子の上に乗って、食器棚の上を拭きたかったのだろう。

でもバランスを崩して、椅子ごと引っくり返り。

その拍子に、食器棚の横に置いていたテーブルクロスを巻き込んで転げ落ち。

テーブルクロスごと、テーブルに置いていた調味料セットを落っことしてしまったと…。

あなたはピタゴラ装置ですか。

まぁ、本人に怪我がないから良いけども。

「破片踏んだら大変ですから、スリッパを履いて。あと、二次災害どころか三次災害が起こると困りますから。あなたは向こうに行っててください」

「だ…大丈夫だよルーチェス君!わ、私が片付けるから!」

「いえ、僕がやるので」

「じ…じゃあ、せめて手伝わせて!」

手伝う…か。

「まぁ、そのくらいなら」

「ね!だよね!ばっちりお手伝いするから!何したら良い?」

「そこで僕を応援しててください」

「ルーチェス君~っ!!」

だって、破片を踏んだり、迂闊に触って手を怪我しちゃ困るし。

二次災害も怖いし。

だったらそこで、僕を応援してくれてる方が、余程やる気が出る。

「さて…片付けましょうか」

まずは、割れた皿の破片から。
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