The previous night of the world revolution5~R.D.~
監視の目を掻い潜り、俺達は廃工場の敷地内に忍び込んだ。

俺達の侵入が露見すれば、アイズがどんな目に遭わされるか分からない。

出来る限り、敵に気づかれないように進まなければ。

俺の緊張が伝わったのか、ルリシヤが何気ない風を装って、声をかけてきた。

「こうしていると、シェルドニアの一件を思い出すな」

「ん…?あぁ…そうだな」

あのときとは、立場が逆だけどな。

助ける側と助けられる側。

成程、あのときアイズ達は、ルティス帝国で足踏みしながら、こんな気持ちだったのかもしれない。

「不満か?隣にいるのが俺で。やっぱりルレイア先輩の方が良かったか」

「そんなことはないよ」

ルリシヤの実力はよく分かってるし。

この場合、ルレイアが作戦指揮官に相応しいことは俺も認めている。

これが適任なのだ。

「お前ほど頼りになる後輩は何処にもいない。そう思ってるよ」

「そうか。では、ルルシー先輩の期待に応えないとな」

ルリシヤのお陰で、少し緊張が解け。

俺達は無事、廃工場の入り口に辿り着いた。

だが、問題はここからだ。

「ルリシヤ、これ…」

「…あぁ。厄介だな」

俺達の前に立ち塞がるのは、堅牢な要塞に等しかった。

『入り口は発見出来ましたか』

インカムから、ルレイアの声が聞こえた。

「あぁ、見つけた。でも、これは…」

「最新式のセキュリティシステムだな。指紋認証、カードキー、八桁のパスワードの三つでロックされてる。おまけにパスワードを一つでも間違えれば、小型爆弾が作動する」

俺の代わりに、この手のものに詳しいルリシヤが答えてくれた。

『解錠出来ますか?』

「可能だ。先日俺が作ったばかりの、『これであなたも脱獄上手!ルリシヤ特製・脱獄七つ道具~極~』を、部下に持ってこさせてる。それを使えば解錠出来る」

お前ほど頼りになる後輩はいないって、さっき言ったばかりだけどさ。

お前、何作ってんの?

シェルドニアのときより、更に進化してやがる。

「だが、時間がかかるぞ。一度も間違えられないし、カードキーや指紋認証までクリアするには…」

『…分かりました。なら…ここは、ルレイア式で行きましょう』

…ルレイア式?

少し考えて、そして戦慄した。

ルレイア式の、潜入方法と言えば…。
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