The previous night of the world revolution5~R.D.~
「…駄目ですか?僕のこと、嫌いです?」

「と、とんでもないですっ」

俺の無言を否定と捉えたのか、ルーチェスさんが顔を曇らせた。

そういう訳ではなくて。

「そんな…。俺は準幹部の身で…。ルーチェスさんと仲良くさせて頂くなんて…」

「あぁ、そういうのはもう良いんです。今まで散々そういう扱い受けてきましたから」

え?

「むしろ僕は、高校生みたいなノリで、『よールーチェス、何やってんの』とか言いながら、背中をバーンと叩かれるような…そんな相手が欲しい」

いや、畏れ多過ぎて、幹部の背中なんて叩けませんて。

「それに、夫婦としてはあなたの方が先輩ですし。気兼ねせず話してください」

と、言われても…。

どうしても気を遣ってしまうと言うか…。

「…まぁ、僕のことが嫌いで、話したくないと言うなら、それは仕方ないですけど」

「そ、そうじゃないです!そんなことは決して!」

別に嫌いだから話したくないとか、そういうことではない。

ただ、立場上軽々しく話せないというだけで。

「なら、仲良くしてくれませんか」

「…はい。俺で良ければ…」

俺は、ようやく落ち着いて返事をした。

確かに畏れ多いけど、でも光栄なことだ。

彼の言う通り、家も近所だし、嫁同士も仲良しだし。

立場の垣根を越えて話が出来るのなら、こんなに嬉しいことはない。

「ありがとうございます。では早速、友情の証に、お茶でもしに行きましょう」

「…え?」

俺は、ルーチェスさんに導かれるまま。

『青薔薇連合会』本部ビルの近くにあるカフェに、連れていかれた。
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