The previous night of the world revolution5~R.D.~
思い出す。

フューニャと喧嘩…喧嘩って言うか、いつも俺が一方的に怒られてるんだけど。

新婚当初、揉めた原因の一つが、まず。

「…煙草…」

「煙草?」

「禁煙するって約束してたんだけど…こっそり吸って…臭いでバレた」

今思えば、馬鹿なことをしたもんだ。

何故ブレスケアごときで、フューニャの鼻を誤魔化せると思ったのか。

俺もまだ若かったんだろうなぁ。

フューニャの鼻の恐ろしさを、まだ全然分かってなかった。

フューニャの鼻って、あれだからな。

俺が午後、部下におやつのポッキーもらったとき。

帰った瞬間、「あなた今日、おやつにポッキー食べましたね?」って言われるレベルだから。

俺はあの日まで、ポッキーに匂いがあることすら知らなかった。

「煙草ですか…。確かに女性はあまり、煙草は吸いませんもんね」

「うん…」

「でも僕は、元々煙草は吸わないので、それは問題なさそうです」

それは良かった。

百害あって一利なし、って言うもんな。

出来る限り吸わない方が良いのは確かだ。

「他にはありますか?」

「他には…酒だな」

「お酒…ですか」

酒はマジでやめとけ。

飲んでも良いけど、酔い潰れるのは駄目だ。

洗濯されるぞ。

それどころか、生け贄にされかけた。

あのときのことを思い出して、俺はぶるっと身を震わせた。

未だにトラウマ。

「ルーチェスさんはその…お酒は?」

「飲めますけど、それほど好きという訳では…」

煙草はやらないし、酒はほどほど。

良いよ。それくらいが一番良い。

「特に禁酒を命じられたことはないですね」

「そうですか…」

じゃあ、一番大事なことを言おう。

「他に気を付けるべきは?」

「…エロ本だ」

「エロ本…?僕の大好物じゃないですか」

紅茶、噴き出しそうになった。

あなた、そんな清純そうな顔で。

エロ本が大好物って、本当なのか。

「やめた方が良いと思います。マジで。本当に」

「エロ本を…?何故?」

分かっていない。

ルーチェスさんは何も分かっていない。

エロ本が、夫婦関係にどんな悪影響をもたらすかを。

エロ本は、確かに男にとってのトレジャーだ。

しかし奥様方にとっては、嫌悪以外の何物でも…。

「やめた方が良いんですよ。本当に。悪いこと言いませんから」

「何故です?」

「もしエロ本を所持していることがバレたら、酷い目に遭いますよ」

隠しているつもりでも、嫁はそういうものに関しては、めざとく見つけてしまうのだ。

そしてもしエロ本がバレたとき、どんな悲劇が待っているか…。

しかし。

「バレるも何も…うちの奥さん、僕がエロ本を大量に所持していることは知ってますよ?」

「…え?」

「普通に、寝室の本棚に並べてますし」

「…!?」

…マジで?

え。

…マジで?
< 529 / 627 >

この作品をシェア

pagetop