The previous night of the world revolution5~R.D.~

sideルルシー

──────…俺とルリシヤは、飛んでくるコンクリートの破片に当たらないよう、姿勢を低くして隠れていた。

凄まじい破砕音と振動が、ビリビリと伝わってくる。

身体が痺れそうだ。

「さすがルレイア先輩…。ダイナミックな潜入方法だ」

…本当にな。

鍵を開けるでも、インターホンを押すでもなく。

壁を破壊してお邪魔するとは。

あいつはいつもそうだ。

「ノック=ドアを破壊」だと思ってるからな。あいつ。

成程、これがルレイア式。

こんなダイナミックな戦法を使う我が相棒には、当然閉口するが。

それ以上に。

「…凄いな、アリューシャ先輩は」

「あぁ」

常々、アリューシャの狙撃技術は高く評価しているが。

今日ほどに感嘆したことがあるだろうか。

今回壁を破壊するのに使っているのは、『青薔薇連合会』で取り扱っている狙撃用の砲弾の中で、一番大きく、殺傷能力が高いものだ。

今までこの弾丸を使ったことは、一度もない。

実用的ではないからだ。

確かに威力は莫大なものだが、その代わり、使用者に多大な負担を強いる。

俺は狙撃手ではないから、そんなに詳しくないが。

一発撃つだけでも、半端じゃない反動を受けるらしい。

それこそ、素人なら後ろに吹っ飛びかねないくらいの反動だそうだ。

だが、一発当てるだけでは、この堅牢な壁は破壊出来ない。

だから、アリューシャはその弾を連発していた。

一発一発を、コンクリ壁の一点のみに集中させ、無理矢理壁に穴を抉じ開けたのだ。

この場にいる俺達でも、これだけの痺れと振動を感じるのだ。

引き金を引いているアリューシャは、どれほどの反動を受けていることだろう。

普通なら、反動のせいで、当然一発撃つごとに照準がずれる。

それなのにアリューシャの弾は、二発目も三発目も、一発目と全く着弾点がずれていなかった。

一体どんな技術があれば、こんな神業が出来るのだ。

そして。

四発目の着弾で、ついに。

分厚いコンクリートの壁に、巨大な風穴が空いた。

「…侵入経路を確保。これより突入する」

『了解。二人共、気をつけて』

舞い散る粉塵を払い除け、俺とルリシヤは、工場の中に侵入した。
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