The previous night of the world revolution5~R.D.~
で、深夜。

「良いか、ルーチェス。梅は、これくらい熟したものを使うんだ。青い場合は、まだ追熟させなければならない」

「ふむふむ、成程」

「まずは痛んだもの、傷や汚れを丁寧に取り除く。つまようじを使うと良い」

「分かりました」

「傷つけないように洗って、水気が残らないようにふきんで拭き取り…」

…。

…本当に、うちで梅干し漬けてるんだけど。

お前ら、熱心に梅漬けてるところ悪いんだが、家主が見てることに気づいてるか?

それどころか。

「あ、丁度良かったルルシー先輩。そこに置いてある塩取ってくれ」

勝手に不法侵入しておいて、更に梅干し作りを手伝わせようというこの厚かましさ。

「って言うか…。どんだけ漬けるつもりなんだよ…」

ルリシヤとルーチェスの前には、でかい段ボール箱にいっぱいの梅。

どうするの?そんなに。

毎日日の丸弁当食えるぞ。

「うちの分と、ルーチェス夫妻の分と、ルルシー先輩の分だからな。これくらいは漬けないと」

「…本当に俺の分もあるのかよ…」

俺、別に梅干し欲しいって言ったつもりはないのだが?

…まぁ、作るの大変だもんな。梅干しって。

普通にスーパーでも売ってるけど、手作りとはまた味が違うし…。

タダでもらうには、手間のかかる食べ物だ。

せっせと、段ボール箱いっぱいの梅の下処理をする二人を見ていると。

なんか…無視して寝ているのも気が引ける。

「…分かったよ。手伝うよ」

結局こうして不法侵入を許し、おまけに手伝うのだから、俺は甘いな。
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