The previous night of the world revolution5~R.D.~

sideルーチェス

──────…翌朝。

「ふぅ。ただいま」

「あれぇ…。ルーチェス君」

梅干しを漬けた、大きな瓶を持って帰宅すると。

まだ髪もとかしていないセカイさんが、朝食のコーンフレークを齧っていた。

ちなみにセカイさんが朝食にコーンフレークを食べているのは、コーンフレークなら調理をする必要がないからである。

「お帰り~。それ何?」

しゃくしゃくとスプーンを動かしながら、セカイさんは梅干しの瓶を指差した。

「梅干しです」

「梅干し?」

「前言ってたでしょう?『あ~、美味しい梅干しのおむすび握れる主婦になりたいなぁ』って」

「…言ったっけ?」

あれ?

僕の記憶が正しければ、言ってたような気がするんだが。

まぁ、この際言ってても言ってなくても良い。

漬けて持って帰っちゃったんだから。

「そんな訳で僕、セカイさんの為に、美味しい梅干しのおむすびを握れる主夫になります」

「…」

「あと一週間くらいしたら、紫蘇を入れるので。出来上がったら一緒に食べましょう」

「…」

セカイさんは、無言で席を立ち。

パジャマ姿のまま、僕の背中にガバッと抱きついてきた。

「も~!ルーチェス君は可愛いのう~」

「はぁ。ありがとうございます」

「男と外泊って言うから、何処のイケメンおじさんとえっちしてるのかと思ったら、まさか梅干し漬けてたなんて。ルーチェス君には、いつも驚かされるな~」

渋いイケメンおじさんとえっちしてる方が、驚くと思うけどな。

まぁ、セカイさんが喜んでるみたいだから、良かった。
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