The previous night of the world revolution5~R.D.~

sideアリューシャ

─────…その頃。アリューシャは。

「ぐっ…。ってぇ…」

全身、特に腕。

千切れたんじゃないかってくらいいてぇ。

全身がビリビリ痺れて、足もガクガク震えて、おまけに目の前が霞む。

分かっちゃいたが、人間が使って良いもんじゃねぇな、これ。

正直、もう二度と撃ちたくねぇ。

『アリューシャ。ルルシーとルリシヤが工場に侵入しました。休んで良いですよ』

アリューシャが反動でやべぇことになってると察したのか、ルレ公がそう言った。

「ふ、ざ…けんじゃねぇ…」

まだ、アイ公の無事は確認されてないのだ。

こんなところで、アリューシャだけ離脱出来るか。

「まだやる。まだやれる…!」

コンクリート壁をぶち破った、特注のライフルを蹴っ飛ばし。

いつもの、愛用のライフルを取り付けた。

くそ、動け腕。震えてる場合じゃねぇぞ。

集中しろ。ターゲットを撃て。

お前に出来るのは、いつだってそれだけだろう。

アリューシャから狙撃を取ったら、他に何が残るんだよ!

「まだやらせてくれ、ルレ公…!」

『…分かりました。無理しないでくださいね』

アイ公は、いつも何度も、アリューシャを守ってくれた。

だから今度は、アリューシャがアイ公を守るのだ。

腕が痛い、身体が痛いなんて言ってられるか。

痛がるだけなら、後でいくらでも出来る。

「力貸してくれよ、シュスリー…!」

愛用のライフルを構え、アリューシャはスコープを覗き込んだ。
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