The previous night of the world revolution5~R.D.~
…心臓、飛び出るかと思った。

「ふ、ふ、フューニャ…さん…?」

ど、どうなされた?

いつもだったら、俺が帰宅した音を聞き付けて、てこてこと駆けてくるのに。

今日は、既に玄関で待っていた。

死ぬほどびっくりしたんだけど。

しかも、この般若の顔。

間違いなく、めちゃくちゃ怒っている。

俺は、頭の中をフル回転させた。

何をした?我が家の女王陛下を怒らせることを、何かしてしまったのか?

あれだけ怒られたのに、またジャケットを床に放り出したまま放置してたとか?

新聞読んだまま、散らかして出勤したとか?

いや、この般若の顔は、それどころではない。

そんな可愛いことじゃないぞ。

もっとヤバいことをしたときの顔だ。

そう、以前、初めて華弦お義姉さんと会ってもらったときの…。

つまり、本気で浮気を疑われたときの…。

俺の頭から、サーッと冷たいものが流れ落ちた。

と、とにかく、フューニャが何に怒ってるのかを確認しなくては。

「ふ、フューニャ。あのな、あの…」

「…」

その無言が怖い。

「ろ、ロールケーキ買ってきたんだ。美味しいって評判の…」

「…」

「あの、だから。一緒に食べ、いや、一本全部あげるから、その、だから」

「…ルヴィアさん」

めちゃくちゃ低い声で、名前を呼ばれた。

「…ひ、ひゃい」

「…白状するなら、今のうちですよ」

「…何を…?」

…ごめんなさい。

全く、身に覚えがありません。

とりあえず、フューニャが物凄く怒ってることは分かった。

「この期に及んで、しらばっくれるつもりですか」

「し、しらばっくれるも何も…」

分かんないんだよ。自分が何をしたのか。

誰か教えてくれ。

俺は、一体何をしてしまったんだ?

「…良いでしょう。そこまでしらばっくれるつもりなら、こちらから聞いてあげます」

え?

「あなた、浮気してますね?」

「…………!?」

俺は、これでもかと言うほど、目を大きく見開いた。
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