The previous night of the world revolution5~R.D.~
「今日、お隣の奥さんと話したんです」

「な、何を…?」

「もしかしたら、お互いの夫が浮気をしてるんじゃないかーって」

そんな話してたの?

縁起でもないから、やめて。

「私は持ち前の嗅覚と占いがあるので、ハナからルヴィアさんの浮気なんて、これっぽっちも疑ってはいなかったんですが…」

え、そうなの?

じゃあ、俺、泣き損?

あっ、でもフューニャに頭撫でてもらえてるから、良いか。

「万が一ということもあるので、お互い旦那に、鎌をかけてみないかという案が出まして」

縁起でもないから、やめて。本当に。

切実にやめて。

「そんな訳なので、鎌をかけてみました。案の定、全然引っ掛かりませんでしたけどね」

「ふ、フューニャ…」

「ごめんなさい、試すような真似をして。でも、あなたが私だけを愛してくれてるのが分かって、私は嬉しいです」

フューニャは、本当に嬉しそうに俺の頭を撫で。

そしてハッとして、ふいっ、と横を向いた。

「…私は別に、夫が浮気してなくて嬉しいなんて思ってません」

…ちらっ。

「思ってませんからね」

ちらっ。ちらっ。

…フューニャ。

「…フューニャぁぁぁ…」

あまりの安堵感に、再び涙が溢れた。

フューニャの胸に飛び込み、ぎゅうう、と抱き締める。

「よしよし。全く泣き虫な夫で困りますね」

「フューニャぁぁぁ…。良かったぁぁぁ」

「えぇ、私も良かったです。ロールケーキ、ありがとうございます。一緒に食べましょうね」

フューニャによしよしと撫でられながら、やっぱり、浮気なんて絶対しない、と再度心に深く誓った。

俺には、フューニャが一番だ。
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