The previous night of the world revolution5~R.D.~

sideルルシー

──────…アリューシャのお陰で、突破口は開かれた。

俺達の突然の侵入に、中にいた構成員達は大わらわだった。

誰か一人でも捕虜を取りたいところだが、今はそれどころではない。

作戦の第一目標は、まずアイズレンシアの奪還。

それ以外は、全部後回しで良い。

立ち塞がる敵構成員を、俺とルリシヤは次々蹴散らしていった。

俺達だけじゃない。

反動で伸びていてもおかしくないアリューシャの的確な狙撃が、敵に襲い掛かった。

その全ての弾丸が、吸い込まれるように敵の心臓を射抜いていた。

…あいつ、一体どんな集中力してんだ。

コンクリート壁の風穴には、まだ粉塵も残っているはずなのに。

それに何より今のあいつは、コンクリ壁を破壊した反動で、まともに身体を動かすことも出来ないだろうに。

そんなハンデはなかったかのように、アリューシャは次々と敵構成員を蜂の巣にしていった。

恐ろしい奴だ。

つくづく、敵に回したくない。

「俺達も、アリューシャの奮闘に応えないとな」

「全くだ。このままじゃ、MVPをアリューシャ先輩に独占されてしまうな」

もうこの時点で、MVPはアリューシャで良いんじゃないかな。

そう言いたくなるくらいの活躍だ。

すると。

「…ルルシー先輩」

「何だ?」

「これ、よく見てくれ」

ルリシヤは、壁の一部に手を添わせた。

よく見ると、そこにはうっすらと筋が見える。

「これは…隠し扉か何かか?」

「だろうな」

…お前って奴は、本当に目敏いな。

「開けられるか?」

「試してみる」

敵さんが誰なのかは知らないが。

ある意味、ルレイア並みに恐ろしいこの男が前線に出てきたことが…奴らの運の尽きだ。
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