The previous night of the world revolution5~R.D.~
俺の執務室に来るのは、もう良い。
来るなと言っても来るのは分かってるし、部屋の鍵を閉めたところで、こいつらにはまるで無意味だということも分かってる。
前、試したことがある。
鍵をかけたはずなのに、気がついたら後ろにいた。
幽霊か何かかと思ったよ。
で、言うに事欠いて、「あれ?鍵閉まってるじゃないですか。何で鍵かけたんですか?」だからな。
お前を閉め出す為だったんだよ。畜生。
何処から入ってきてんだ。マジで。
それはともかく、部屋の中に侵入してくるのはもう良い。
諦めた。
だが、猥談はやめろ。
「それでその女、最後の方には息も絶え絶えに、ピーをピーさせて、ピーしてくれってねだってきて…」
放送禁止用語が次々と。
アリューシャがいなくて良かった。
さっきから、こいつが特濃な夜の話をするせいで、全く仕事に集中出来ない。
マジで、こいつの口縫った方が良いんじゃないかな…と。
真剣に考えていた、そのとき。
ぴるるる、と携帯が鳴った。
反射的に、テーブルの上に置いていた俺のスマホを見る。
が、音の発信源は俺のスマホではなく。
「…ルレイアのか」
「ですねぇ。…ったく、今良いところだったのに…」
何が?
猥談しかしてなかったよ。今。
ルレイアは溜め息をついて、自分のスマホをタップし、電話に出た。
「あぁん?」
お前、電話の出方なんとかしろよ。
もしもし、とか。こんにちは、とか。
あぁん?ってお前。
そんな口を利いても良い相手なんだろうけどさ。
「はぁ…?ちっ、面倒な…」
…ルレイア、イラついてるな。
何があったんだろう。
また、何かしら危険なことに首を突っ込もうとしてるんじゃないだろうな?
「分かりましたよ。ただし、今夜は容赦しませんからね。泣いてねだっても許してあげませんよ」
誰か知らないけど、気の毒な。
それだけ言って、ルレイアはぴっ、と通話を切った。
「…はぁ、やれやれ…」
「…誰だったんだ?電話の相手…」
今夜、ルレイアに抱き潰されるであろう、気の毒な女性…。
あ、いや、男性である可能性もあるが…。
「エリュシアですよ」
「あぁ…ルレイアの召し使いしてる子…」
「下僕です」
下僕言うな。
可哀想に。あの子、まだルレイアのげぼ、いや…召し使いやってるんだな。
「あの子が、何か悪いことでもしたのか?」
何をしたのかは知らないが…それくらい許してやれよ。
あの子、いつもルレイアにこき使われてさ。
可哀想だと思ってるんだよ。
「そうなんです。俺が経営してる風俗店って、一杯ありますけど、その中の一つが」
「うん」
「あ、そこはちなみに、『ガッツリ濃いえっち』をする店なんですけどね」
うん。
そういう余計な情報は、言わなくて良いからな。
俺は絶対行かないぞ。その店。
近づくのも嫌だ。
「で、そこで何があったんだ?」
「客同士が、うちの嬢を巡って、店の中で大喧嘩だそうで」
…あー…。
わざわざ警察じゃなくてルレイアを呼ぶのは、そこがルレイアの経営する…つまり、マフィアが管轄する店だからだ。
警察の入り込む領分ではない。
…ん?
それ、エリュシアちゃん、何も悪くなくね?
何でその子が罰受けるの?八つ当たり?八つ当たりなのか?
「仕方ないですねぇ。俺が仲裁に入って、いずれにしても店の嬢は全員俺の女なんだから、争っても無駄だって教えてきますよ」
またお前は、火に油を注ぐようなことを…。
そういうのは、仲裁とは言わないんだよ。
「じゃ、ルルシー。俺ちょっと出掛けてきますね」
「あぁ…。気を付けてな…」
お前なら大丈夫だとは思うけど。
こうして、ルレイアは俺の執務室を後にした。
来るなと言っても来るのは分かってるし、部屋の鍵を閉めたところで、こいつらにはまるで無意味だということも分かってる。
前、試したことがある。
鍵をかけたはずなのに、気がついたら後ろにいた。
幽霊か何かかと思ったよ。
で、言うに事欠いて、「あれ?鍵閉まってるじゃないですか。何で鍵かけたんですか?」だからな。
お前を閉め出す為だったんだよ。畜生。
何処から入ってきてんだ。マジで。
それはともかく、部屋の中に侵入してくるのはもう良い。
諦めた。
だが、猥談はやめろ。
「それでその女、最後の方には息も絶え絶えに、ピーをピーさせて、ピーしてくれってねだってきて…」
放送禁止用語が次々と。
アリューシャがいなくて良かった。
さっきから、こいつが特濃な夜の話をするせいで、全く仕事に集中出来ない。
マジで、こいつの口縫った方が良いんじゃないかな…と。
真剣に考えていた、そのとき。
ぴるるる、と携帯が鳴った。
反射的に、テーブルの上に置いていた俺のスマホを見る。
が、音の発信源は俺のスマホではなく。
「…ルレイアのか」
「ですねぇ。…ったく、今良いところだったのに…」
何が?
猥談しかしてなかったよ。今。
ルレイアは溜め息をついて、自分のスマホをタップし、電話に出た。
「あぁん?」
お前、電話の出方なんとかしろよ。
もしもし、とか。こんにちは、とか。
あぁん?ってお前。
そんな口を利いても良い相手なんだろうけどさ。
「はぁ…?ちっ、面倒な…」
…ルレイア、イラついてるな。
何があったんだろう。
また、何かしら危険なことに首を突っ込もうとしてるんじゃないだろうな?
「分かりましたよ。ただし、今夜は容赦しませんからね。泣いてねだっても許してあげませんよ」
誰か知らないけど、気の毒な。
それだけ言って、ルレイアはぴっ、と通話を切った。
「…はぁ、やれやれ…」
「…誰だったんだ?電話の相手…」
今夜、ルレイアに抱き潰されるであろう、気の毒な女性…。
あ、いや、男性である可能性もあるが…。
「エリュシアですよ」
「あぁ…ルレイアの召し使いしてる子…」
「下僕です」
下僕言うな。
可哀想に。あの子、まだルレイアのげぼ、いや…召し使いやってるんだな。
「あの子が、何か悪いことでもしたのか?」
何をしたのかは知らないが…それくらい許してやれよ。
あの子、いつもルレイアにこき使われてさ。
可哀想だと思ってるんだよ。
「そうなんです。俺が経営してる風俗店って、一杯ありますけど、その中の一つが」
「うん」
「あ、そこはちなみに、『ガッツリ濃いえっち』をする店なんですけどね」
うん。
そういう余計な情報は、言わなくて良いからな。
俺は絶対行かないぞ。その店。
近づくのも嫌だ。
「で、そこで何があったんだ?」
「客同士が、うちの嬢を巡って、店の中で大喧嘩だそうで」
…あー…。
わざわざ警察じゃなくてルレイアを呼ぶのは、そこがルレイアの経営する…つまり、マフィアが管轄する店だからだ。
警察の入り込む領分ではない。
…ん?
それ、エリュシアちゃん、何も悪くなくね?
何でその子が罰受けるの?八つ当たり?八つ当たりなのか?
「仕方ないですねぇ。俺が仲裁に入って、いずれにしても店の嬢は全員俺の女なんだから、争っても無駄だって教えてきますよ」
またお前は、火に油を注ぐようなことを…。
そういうのは、仲裁とは言わないんだよ。
「じゃ、ルルシー。俺ちょっと出掛けてきますね」
「あぁ…。気を付けてな…」
お前なら大丈夫だとは思うけど。
こうして、ルレイアは俺の執務室を後にした。