The previous night of the world revolution5~R.D.~
サプライズ会場は、『青薔薇連合会』本部の会議室である。

パーティ会場の準備は、既に完成していた。

「おぉ…。様になってるじゃないか」

会場は、ルーチェスの采配で立食形式である。

飾り付けも、主にルーチェスが担当した。

本人曰く、「パーティには慣れてるんで」とのこと。

さすがである。

ただの会議室のテーブルなのに、ルーチェスが選んだ洒落たテーブルクロスをかけ。

更にテーブルの各所に花を飾ることによって、殺風景な会議室が、何故か本物のパーティに招かれたように見える。

飾り付け次第で、こんなに変わるとは。

しかも、テーブルの上に並んだ料理の数々。

俺も頑張って作ってきたのだが、ルリシヤに加え、今回はルーチェスという、頼れる料理仲間がいる。

意外なことに、このルーチェス、元お坊っちゃまの割には、めちゃくちゃ料理が上手い。

しかも、作ってくる料理がめちゃくちゃお洒落なの。

横文字の…。何て言うのあれ?

ルヴィアが言ってたな。ルーチェスの作る料理がお洒落で凝ってるって。

あれは本当だったらしい。

しかも盛り付けのセンスが抜群だから、余計お洒落に見える。

マジで、何処ぞのホテルの立食パーティに招かれた気分。

しかも、そこに。

「見てくださいルルシー。俺、シュノさんの為に、またハーレム会員にゴスロリ印のケーキを作らせたんですよ」

「あ…?」

テーブルの中央に鎮座する、巨大な真っ黒いケーキ。

ルレイア大好きの、ゴスロリ印のケーキだ。

相変わらず黒い…。そしてでかい。

可哀想に、こんなものを二度も作らされるハーレム会員。

ごめんな。俺の相棒がこんな奴なばっかりに。

会員達が気の毒な目に。

「これなら、シュノさんも喜ぶこと間違いなしですね!」

…。

良かったな、シュノにゴスロリ仕込んでおいて。

普通の人だったら、こんなケーキ出されたら、めちゃくちゃびっくりすると思うよ。

俺でもビビるもん。

「うぉぉ~!うまそ~!ケーキ早く食いてぇ!」

「まだ駄目だよ、アリューシャ。ご飯食べてからね」

それなのに、ただでかいケーキというだけで、目を輝かせるアリューシャ。

あいつはただのお子様だ。

「そろそろ、シュノさんを呼んできても良いですかね」

「そうだな…。準備良いか?ルリシヤ」

「…」

ルリシヤに尋ねると、ルリシヤは無言で、何やら手話で会話してきた。

悪いけど、俺手話分からねぇから。

まさか。またなのかお前。

「…ルーチェス。お前手話分かる?」

「えぇ」

「ちょっと訳してくれ」

「はい。えーと…。『今喋ったら、口から万国旗が出る』だそうです」

またか。

定番のマジックをやろうとしてんじゃねぇ。

「とにかく、準備は出来てるんだな?」

こくこく、と頷くルリシヤ。

よし。

「ルレイア、シュノを呼んできてくれ」

「は~い」

こんなに準備をしたのに、シュノが「行かない」って言ったらどうしよう。

そこは、上手くルレイアが宥めて、ちゃんと連れてきてくれるとは思うけど…。
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