The previous night of the world revolution5~R.D.~
シュノは驚いたに違いないが。

実は、俺も驚いた。

何にかと言うと、ルリシヤ特製のクラッカーである。

普通のクラッカーなら、ちっこい色とりどりの紙吹雪が飛び出すくらいなのに。

ルリシヤ特製クラッカーは、ピンクと赤の紙吹雪と一緒に、キラキラしたピンクのハート型の折り紙が、いくつも飛んで出てきた。

おまけに、スパンコールの散りばめられた赤いリボンまでもが宙を舞っている。

成程、これは女子にウケるぞ。

キューティーと言うだけのことはある。

しかも、このクラッカー、キューティーなだけではない。

フレグランスと言うだけあって、クラッカーを鳴らした瞬間、甘い香水の香りが漂った。

いかにも女子が好きそうな、ふんわりとした甘い香りだ。

これ、商品化して売れば?

クラッカーのクオリティにびっくりだよ。

「ど、どうしたの…?」

シュノが驚いた顔で、飾り付けされた室内を見渡した。

シュノ、お前今日凄い格好してるな。

いつものゴスロリワンピに慣れてしまったせいで、ジャージ姿が物凄く違和感。

「シュノさんに、サプライズパーティです」

「さ、サプライズ…?」

「さぁ、ほら入って。料理が冷めちゃいますよ」

ルレイアが、気圧されているシュノの手を取り、室内に招き入れた。

さすが。

「シュー公!ポテチあげる、ポテチ!うすしお、のり塩、コンソメ、しょうゆ、じゃがバタ、何でもあるぞ!好きなポテチを食うと良い!」

アリューシャが、抱えきれないほどのポテトチップスを、シュノに差し出した。

お前は、本当にポテチを用意したのか。

無駄に味のバラエティが豊富。

「これなんか変化球で美味いぞ!グラタン味!」

「えっ、えっ…」

戸惑うシュノ。

そりゃあ、いきなり連れてこられて、大量のポテチを押し付けられたら、戸惑いもするだろう。

ポテチテロだ。

「駄目か!?じゃあこっちの、味噌汁味はどうだ!」

味の問題じゃないと思うんだが。

ってか、そんなに種類たくさんあるんだな…。

味噌汁味って、一体どんな味なんだ。

「シュノ。良いワインがあるよ。私からの差し入れ」

アイズが、とっておきのワインをシュノに手渡した。

以前、ルレイアが経済貢献と称したふざけた企画を行ったとき、俺が用意したワインに負けず劣らずの逸品だ。

で、俺からは。

「…あんまり、気の利いたものじゃないけど…」

俺は、帝都にある花屋で作ってもらったプリザーブドフラワーを、シュノに渡した。

ルレイアと違って、俺は女の子が喜びそうなものって、よく分からなくて。

ネットで調べて、定番なところを突いてみた。

「あ、ありがとう…」

戸惑いながらも、シュノは受け取ってくれた。

お次は。

「さぁ、シュノ先輩。ルリシヤのマジックショーをご覧あれ」

ルリシヤの、マジックショー開幕である。

…お前、普通に喋れるんじゃないかよ。
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