The previous night of the world revolution5~R.D.~
ルリシヤは、何処から用意したのか、本物のマジシャンよろしく、黒いシルクハットを被り、黒いマントをまとった。

…やべぇ。本職だ。

普段仮面をつけてるせいで、余計に似合ってる。

で、まず初っ端は。

ルリシヤは口の中に指を突っ込み、仕込んでいたらしい万国旗を引っ張り出した。

出るわ出るわ、とんでもない長さである。

何メートルあるんだ。胃カメラでも飲んでたのかお前は。

「すげぇぇぇ!ルリ公すげぇぇぇ!」

シュノより、アリューシャの方が興奮している。

「ふっ、こんなものは序の口だ」

ルリシヤはシルクハットを外し、その中を俺達に見せた。

勿論、シルクハットの中は空洞だ。何も仕込まれているようには見えない。

それなのに。

ルリシヤが再びシルクハットを被り、パチンッ、と指を鳴らす。

そしてシルクハットを外すと、中から、色とりどりの薔薇が出てきた。

…マジ?

「ほえぇぇぇ!すげぇぇぇ!」

やっぱり大興奮のアリューシャ。

「さぁ、これはシュノ先輩にプレゼントしよう」

「あ、ありがとう…」

シルクハットに入っていた薔薇の花束を、シュノに手渡す。

しかし、ルリシヤマジックショーはまだ終わらない。

黒いマントの内側から、折り畳み式のステッキを二本取り出す。

そのステッキを二本共伸ばし、ルリシヤはそれを同時に空中に放り投げた、

当然、ステッキは重力に従って、床に落ちるはずだ。

それなのに。

ルリシヤが腕をくるくると回すと、ステッキは空中にとどまり、同じくくるくると回った。

宙に浮くステッキ。

「でぇぇぇぇ!?すげぇぇぇ!」

アリューシャ大興奮。

マジであれ、どうなってんの?

空中に糸で吊ってんのかと勘繰ったが、ルリシヤがパチンと指を鳴らすと、ステッキは命を失ったかのように、ころんと落ちてきた。

本当にどうなってんの?

「さて、次でラストだ」

ルリシヤは、会議室の隅から、棺桶みたいな横長の大きな箱を、台車に乗せてガラガラと運んできた。

あれは、まさか。

「ルレイア先輩、ちょっと手伝ってくれ」

「はーい」

ご指名を受けたルレイアが、棺桶の前に駆けてきた。

ルリシヤは棺桶の蓋を開け、その中に横たわった。

ま、まさか本当に。

「さぁ、ルレイア先輩。これに蓋をして、ナイフを刺してくれ。ぐさぐさと、容赦なくな」

「了解で~す!」

マジで?

マジで?本当にやるのか?

シュノのサプライズパーティの余興であることも忘れ、俺は手に汗を握っていた。
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