The previous night of the world revolution5~R.D.~

sideルリシヤ

─────…。


「…はぁ」

部屋で一人のときしか、俺は溜め息をつかないように気を付けている。

人前で溜め息をつけば、人々に心配をかけるからだ。

それは、俺のキャラではない。

いかなるときでも余裕を保ち、仮面の下の素顔を見せず、ミステリアスに振る舞う。

…そうありたいと思っていたのだが。

そうはさせてくれないものが、今、この手の中にある。

「…もう一生、関わることはないと思ってたんだがな」

懐かしい、おぞましい家紋が、手紙の裏側に押されていた。


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