The previous night of the world revolution5~R.D.~
「…それで、ルリシヤ」

「うん?」

「俺達の仮説は、未だに仮説のままなんですが、確証をもらっても良いですか?」

あなたの口からイエスと言ってもらわないと、仮説は一生仮説のままだ。

とりあえず、ルリシヤと情報を共有したい。

「あぁ…。分かった。とりあえず…これを読んでもらえれば、全部分かる」

ルリシヤは、鍵つきの引き出しに入っていた、一通の手紙を差し出した。

そこには、クレマティス家の家紋が捺されていた。

…やはりか。

「読んで良いんですね?」

「どうぞ」

俺達は、一枚の手紙を囲むようにして、その中身を読んだ。

貴族の手紙らしく、やたら難しい言葉で回りくどく書いてあるもんだから、アリューシャは「?」状態だったが。

…非常に忌々しい内容であることが、分かった。

「…ルリシヤ」

「何だ?」

「俺が言うのもなんですが、あなたの兄は、最低の人物ですね」

「…」

ルリシヤは、気まずそうに目を逸らした。

言い返す言葉がない、ってことなのだろう。

結論から言えば。

ルーチェスの仮説は、真実だった。

ルリシヤの兄、クレマティス家の当主は、ルリシヤにクレマティス家に戻るように言ってきた。

いや、命じているのだ。

「戻ってきてくれないか」ではない。

「戻ってくることを許してやる」と言ってる。

そして、縁談の件も。

「◯◯企業の令嬢と結婚させてやる」と。

「今までのことは水に流してやる。マフィアをやっていたことも許してやる」と。

「だから、戻ってきても良い」と。

…なぁ、一言言って良いか?

「…何様だ、この野郎」

「…めちゃくちゃ同感です」

今すぐ鎌持って刈りに行こうかな。

この類のクズは、一回首を刈られないと分からないんだよ。

「信じられないわ…!自分が追い出した癖に…!」

シュノさんも激昂。

「…」

ルルシーは無言だが、その目を見れば、彼が超怒っているのが分かる。

激おこルルシーインフェルノだ。

もうネタが古いな。
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