The previous night of the world revolution5~R.D.~

sideアイズレンシア

─────…ルレイアが「仕事」を始めた、その頃。

私もまた、同じホテルの会議室で待機していた。

「…」

腕時計を見る。

…約束していた時間から、既に10分ほど過ぎている。

『青薔薇連合会』の息がかかった取引先との会議なら、まず有り得ないことだ。

私達を、一分でも待たせるなど。

だが、今回は違う。

今回の相手は、『青薔薇連合会』とは現状、何の関係もない企業だ。

それどころか、『青薔薇連合会』など、単なる不良集団くらいにしか思っていないのだろう。

私を待たせるということは、そういうことだ。

随分と、舐められたものだ。

私達を、まるで眼中に入れていない。

良いさ。そう思っていれば。

今に、目にもの見せてくれる。

すると。

「いやぁ、お待たせしました」

ようやく、目的の人物が会議室にやって来た。

私に負けず劣らずの「成金スーツ」に身を包んだ、小太りの初老の男。

…この男が。

私は、待たされたことに対する苛立ちをおくびにも出さず。

「営業スマイル」を浮かべて、手を差し出した。

「初めまして。『青薔薇連合会』を代表して来ました、アイズレンシア・ルーレヴァンツァと申します」

先方も、私が「成金スーツ」を着ていることに気づいたのか。

それどころか、手首にさりげなく覗かせた、超高級腕時計に気づいたのか。

これはもしかして、思っていたより手強い相手なのではないかと、動揺の表情が浮かんだ。

…勝った。

私は、内心ほくそ笑んだ。

怯える獲物の喉元に噛み付き、仕留める。

これが、『青薔薇連合会』…ひいては、マフィアのやり口だ。
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