The previous night of the world revolution5~R.D.~
「…全く、先輩方には感謝しかないな」

俺達からの報告を聞き終えるなり、ルリシヤはちょっと呆れ気味の。

でも、心から嬉しそうに、そう言った。

「良いってことよ!このくらい、お安い御用だぜ!」

自信たっぷりに答えるアリューシャ。

しかし。

「いや、アリューシャは何もしてないだろ」

すかさず、ルルシーに突っ込まれていた。

「何をぅ!アリューシャだって役に立ったぞ!」

「お前だけ何もしてないじゃないか」

「アリューシャはちゃんと役に立ったよ。面倒な取引先企業との交渉も、アリューシャが私の癒しになってくれたから、精神衛生を健康に保っておけたんだよ」

と、アイズ。

精神衛生は大事だよなぁ。うん。

「ほーら見ろ!アリューシャ大活躍!マジMVP!」

「…」

怒り顔のルルシー。

まぁまぁ、ルルシー。

良かったじゃないか。結果オーライなんだから。

「…まぁ、俺もあまり何もしてないから、今回はアリューシャのこととやかく言えないけどな」

「私も、あんまり何もしてないかも…」

と、ルルシーとシュノさん。

とんでもない。

「二人共、ちゃんと活躍したじゃないですか」

二人が根回しをして、アイズを補佐してくれなければ。

今頃、買収には成功していなかったかもしれない。

そう、買収。

俺達が今回、ルリシヤを助ける為に行ったことは、主に三つある。

一つ目は、帝国騎士団への根回し。

ルリシヤの兄貴が帝国騎士団に申し出たであろう、ルリシヤの貴族権復帰申請を却下するよう、アドルファスに頼んだ。

帝国騎士団に頼み事をするなんて、本意ではないのだが。

ルリシヤの為だ。今は個人の感情などどうでも良い。

利用出来るものは、何でも利用する。

これで、ルリシヤを貴族に戻すのは不可能になる。

次に、先程言った買収である。

ルリシヤの兄貴に、縁談を持ってきた大企業とやら。

そのまま、『青薔薇連合会』が買収してしまった。

大金積んでな。

買収工作を進めたのは、アイズである。

ルルシーとシュノさんがそれを補佐し、買収に必要な各機関を回り、根回しをした。

無事、某企業の看板は、『青薔薇連合会』のものになった。

これで、クレマティス家との縁談を、強制的に潰させることが出来る。

そして、三つ目。

これは、二つ目の買収にも関係するのだが。

ルリシヤとの縁談を持ちかけた、某企業の社長令嬢。

つまり、ルリシヤが結婚させられる相手だった女。

それを、俺のものにした。

俺の手にかかれば、籠絡するのに時間はかからない。

あっという間に、俺に惚れさせた。

もう、他の男なんて目に入るまい。

俺が「結婚するな」と言えば、意地でも結婚しないだろうし。

俺が「父親に、『青薔薇連合会』と手を組むように言え」と命じれば、その通りにする。

実際、彼女は俺の命令に従い、父親に『青薔薇連合会』の買収に応じるよう、頼み込んだらしい。

俺が「舌を噛んで死ね」と言えば、舌を噛んで死ぬだろう。

それがルレイア・ハーレムの会員というものである。

この三つの工作によって、ルリシヤの政略結婚は、あっという間に白紙になった。

ルリシヤは貴族には戻れないし、当然、政略結婚の犠牲になることもない。

これで、一件落着…。

…と、言えたら良いのだが。

もう一つ、まだ残っている問題がある。
< 624 / 627 >

この作品をシェア

pagetop