The previous night of the world revolution5~R.D.~
シュノさんと、ルルシーの意見は聞いた。

次は。

「…ルリシヤ。どう思います?」

「ふむ…」

ルリシヤは、俺と作戦指揮官の座を争った男。

また、自身も『セント・ニュクス』というマフィアを組織していた身。

意見を求めるのに、彼以上の適任はいない。

「…正直、耳が痛いな。俺も昔は、ルレイア先輩を奇襲して『青薔薇連合会』に入った身だし…」

あぁ、そういえばそんなこともあったね。

「もう良いじゃないですか、そんな昔のこと。水に流しましょうよ」

あのときは、ルリシヤにも事情があったんだし。

俺も、大した傷じゃなかったし。

結果、ルリシヤという得難い後輩を味方に出来たのだから、収支プラスだ。

「ならば、ルレイア先輩の好意に甘えて、意見を述べさせてもらうとしたら…。帝国騎士団を除外して、次に考えられるのは、まず俺達の対抗馬…。要するに『同業者』の組織だな」

「そうですね」

『青薔薇連合会』に対抗出来る組織が、そうそうあるとは思えないが。

全くない、とも言い切れない。

「他組織が『青薔薇連合会』を叩こうと、同盟を組んでいる可能性もある」

「同盟…?何で今…」

「忘れたか?シュノ先輩。俺達はともかく、世間は今、不景気な状況だ。生き延びる為には、自分の組織を売らなきゃならない奴らもいるだろう」

「…!」

シュノさんもルルシーも、ハッとした。

俺も、それは考えた。

小・中規模のマフィアや非合法組織は、ただでさえ不景気で、資金繰りに困っている。

そこに、自分達より規模の大きい、つまりは金持ちの…組織が、「お前達を買ってやる。味方になれ」と金を持ってきたら、どうする?

この話に乗らなければ、自分達は不景気の波に呑まれ、潰されてしまう。

それでもプライドを保ち、買収に応じず孤高を貫く組織もあるだろう。

しかし、組織の存続の為に、苦肉の策で買収に応じる組織の方が多いだろう。

組織が潰れてなくなれば、部下を路頭に迷わせることになる。

それを避ける為には、嫌でも買収に応じるしかない。

そういう意味では、今は「買い時」なのだ。

資金繰りに困っている組織は、僅かな金でも飛び付かざるを得ない。

こうして買収によって大きくなった非合法組織が、図に乗って『青薔薇連合会』にちょっかいを出してきた。

その可能性は充分考えられる。

そして。

「可能性が…もう一つ考えられますね」

「あぁ、そうだな。ルレイア先輩」

ルリシヤも分かっているようだ。

もう一つの可能性。

それは。

「海外の組織が介入してきている可能性です」

どちらかと言うと。

俺は、こちらの可能性の方が高いんじゃないかと思っている。
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