The previous night of the world revolution5~R.D.~
「海外の…?」

困惑した表情のシュノさん。

「箱庭帝国からやって来た『シュレディンガーの猫』を覚えていますよね」

「…!えぇ」

あの頃は、ルリシヤはまだいなかったか。

でも。

「その後の『愛国清上会』、そして前回の、忌々しい縦ロール女の一件…。全て外国絡みの事件でした」

「言われてみれば…そうだな」

ルルシーも納得。

むしろ最近は、外国絡みじゃない方が珍しいくらいだ。

あのときは、国内の経済は安定していたからな。

国内よりも、外国の方が危険だった。

でも、今はその逆。

外国が安定して、国内が不安定。

だから、国内の組織の仕業かと思ったのだが…。

「シェルドニアはアシミムに恩を売ってますし、あの国は洗脳国家だから、非合法組織の存在は有り得ません」

となると、考えられるのは。

「アシスファルト王国か…箱庭帝国か」

「その辺りが妥当でしょうね」

そもそもシェルドニアは、物理的に距離も遠いしな。

わざわざ海を越えて、ルティス帝国に手を出してくるなんて、アホなことをするとは思えない。

まぁ、前王ミレドはそのアホなことを、実行に移そうとしたんだけどね。

それはあいつが馬鹿だっただけで。

普通に考えて、候補に上がるのは、ルティス帝国を挟む隣国。

特に。

「考えられるとしたら、箱庭帝国ですかね。ルアリスが抑えてはいますが、あの国にはまだ元憲兵局派もいる訳ですから…」

「革命に手を貸した俺達を恨んで、復讐ってことか」

「『愛国清上会』の残党、という言い方も出来るな」

そういうこと。

ルアリスは(俺が育ててやったお陰で)よくやっていると思うが。

それでも、長年続いた支配体制がガラリと変わったばかりで、国内にはまだ元憲兵局派の残党もいる。

彼らはどんな残酷なことでもしてくるだろう。復讐の為には手段を選ばない。

「…海外の動向は、警戒した方が良いですね。縦ロールとルアリスには、俺から釘を刺しておきます」

「分かった。頼む」

まぁ、シェルドニアは視野に入れなくても大丈夫だとは思うが。

一応な。

「でも…ルレイア」

シュノさんが、おずおずと挙手した。

「どうしました?シュノさん」

「ルレイアや、ルリシヤの意見を否定するつもりはないのよ。でも…」

「良いですよ。何でも言ってください」

議論の場なのだから。

疑問点があれば、何でも指摘してくれれば良い。

「私達の全く予想していない組織が犯人ってことも、考えられるわよね。元憲兵局とか、シェルドニアとか関係なく…」

「えぇ、勿論」

『セント・ニュクス』なんか、良い例じゃないか。

全く目をつけていなかった組織なのに、ルリシヤという天才が一人いたが為に、とんでもない脅威になり得た。

もしかしたら、俺達が知らないだけで。

ルリシヤ二世みたいな人が暗躍して、小規模のマフィアを組織している可能性もある。

俺達の全く予想していない第三組織が、いきなりひょっこり現れるかもしれない。

考え出せば、キリがない。

「それも考慮に入れて、調査を進めましょう。出来る限り迅速に」

「…あぁ、そうだな」

うちのアイズに、手を出してくれた愚か者だ。

もとより、放置するつもりはない。

必ず炙り出して、死神の鎌の前に懺悔させてやる。
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