The previous night of the world revolution5~R.D.~
私はショップの入り口に立ち、お姉ちゃんが会計を終えて出てくるのを待った。
そうだ、ランチを食べたら、ルヴィアさんにお土産を買わなくては。
何が良いだろう?
ルヴィアさんへのお土産を何にするか、考えを巡らせていた、
そのときだった。
「お嬢さん」
「…?」
人混みにいたこともあり、最初、自分が話しかけられているとは思わなかった。
でも、目の前の中年男性は、明らかに私を見つめて、にこにこと人の良さそうな笑みを浮かべていた。
「何か…?」
落とし物でもしたかと思ったが、違っていた。
その男性は私に、ビニールの包装に包まれた黄色いパンフレットらしきものを差し出した。
パンフレットには、一枚のカード…チケットのようなものも、同封されていた。
これは…?
「あなたは、神を愛していますか。人を愛していますか?」
「え…?」
何なんだ、その質問は。
「私は『天の光教』の信徒です。今度、帝都の◯◯ホールで、偉大なる教祖様ご自身が講演を行います。これが、講演のチケットです」
男性は、パンフレットに同封されたチケットを指差した。
「講演は無料です。是非足を運んでください。きっと、あなたにとっても人生の契機になりますよ」
私は、ようやく状況が分かってきた。
この人…宗教勧誘の人なんだ。
こんなところに現れるなんて。
悪いが、私は占い師ではあるが、宗教には興味がない。
こういう人達の手口は、よく分かっている。
甘い言葉で信徒達を惑わせて、お布施を取り立てて、身ぐるみ剥がすのだ。
私はしっかり者の妻なので、こんな分かりやすい詐欺には乗らない。
「要りません。他を当たってください」
私は毅然としてパンフレットを突き返そうとしたが、男性は受け取らない。
それどころか、へらへらと笑いながら勧誘を続けた。
「いやいや、大丈夫。怪しい者ではありませんから」
自分で言うとは。
何の説得力もない。
「是非一度来てみてください。気軽に参加して良いんですよ。お友達を連れてきてくださっても構いませんよ」
「結構です。行きませんから、これは返します」
「いえいえ、一度、よくパンフレットを読んでみてください。きっとあなたも、神の愛に触れれば考えが変わるはずです。女性信徒もたくさんいますよ。向こうに一人待機させてるので、一緒に行きましょう。紹介しますよ」
そう言って、男性は無遠慮に私の腕を掴んだ。
いきなり触れられて、私はぞっとした。
「は、離してください」
「いえ、心配しなくて大丈夫ですから。向こうで一緒に話しましょう」
私は、掴まれた手を振りほどこうとした。
しかし、優しげな表情と口調と裏腹に、男性の手は私の腕をがっちりと掴んで、振りほどくことも出来なかった。
「や、やめて。助け…」
「…何をしてるんです」
男性に無理矢理連れていかれそうになった、そのとき。
私の腕を掴む男性の手首が、がっちりと掴まれた。
そうだ、ランチを食べたら、ルヴィアさんにお土産を買わなくては。
何が良いだろう?
ルヴィアさんへのお土産を何にするか、考えを巡らせていた、
そのときだった。
「お嬢さん」
「…?」
人混みにいたこともあり、最初、自分が話しかけられているとは思わなかった。
でも、目の前の中年男性は、明らかに私を見つめて、にこにこと人の良さそうな笑みを浮かべていた。
「何か…?」
落とし物でもしたかと思ったが、違っていた。
その男性は私に、ビニールの包装に包まれた黄色いパンフレットらしきものを差し出した。
パンフレットには、一枚のカード…チケットのようなものも、同封されていた。
これは…?
「あなたは、神を愛していますか。人を愛していますか?」
「え…?」
何なんだ、その質問は。
「私は『天の光教』の信徒です。今度、帝都の◯◯ホールで、偉大なる教祖様ご自身が講演を行います。これが、講演のチケットです」
男性は、パンフレットに同封されたチケットを指差した。
「講演は無料です。是非足を運んでください。きっと、あなたにとっても人生の契機になりますよ」
私は、ようやく状況が分かってきた。
この人…宗教勧誘の人なんだ。
こんなところに現れるなんて。
悪いが、私は占い師ではあるが、宗教には興味がない。
こういう人達の手口は、よく分かっている。
甘い言葉で信徒達を惑わせて、お布施を取り立てて、身ぐるみ剥がすのだ。
私はしっかり者の妻なので、こんな分かりやすい詐欺には乗らない。
「要りません。他を当たってください」
私は毅然としてパンフレットを突き返そうとしたが、男性は受け取らない。
それどころか、へらへらと笑いながら勧誘を続けた。
「いやいや、大丈夫。怪しい者ではありませんから」
自分で言うとは。
何の説得力もない。
「是非一度来てみてください。気軽に参加して良いんですよ。お友達を連れてきてくださっても構いませんよ」
「結構です。行きませんから、これは返します」
「いえいえ、一度、よくパンフレットを読んでみてください。きっとあなたも、神の愛に触れれば考えが変わるはずです。女性信徒もたくさんいますよ。向こうに一人待機させてるので、一緒に行きましょう。紹介しますよ」
そう言って、男性は無遠慮に私の腕を掴んだ。
いきなり触れられて、私はぞっとした。
「は、離してください」
「いえ、心配しなくて大丈夫ですから。向こうで一緒に話しましょう」
私は、掴まれた手を振りほどこうとした。
しかし、優しげな表情と口調と裏腹に、男性の手は私の腕をがっちりと掴んで、振りほどくことも出来なかった。
「や、やめて。助け…」
「…何をしてるんです」
男性に無理矢理連れていかれそうになった、そのとき。
私の腕を掴む男性の手首が、がっちりと掴まれた。