The previous night of the world revolution5~R.D.~
買い物も終わり。

私はお姉ちゃんの車で自宅まで送ってもらった。

何だかすっきりしない気分ではあったけど、お姉ちゃんとのショッピングは楽しかったし、ランチも美味しかったし、私は満足だった。

ルヴィアさんにも、お土産を買ってきた。

黒地に、白地で『嫁 命』とプリントされたTシャツである。

これは素晴らしいと、迷わず購入した。

是非ともルヴィアさんに着てもらいたい。

「ただいま」

私が帰宅すると、ルヴィアさんは玄関からリビングに繋がる廊下で、砂漠で行き倒れた人みたいな格好になって倒れていた。

…自宅で行き倒れてる人がいる。

「何をやってるんですか、ルヴィアさん」

「ふ…フューニャ…」

「新しい趣味ですか?」

「…フューニャ欠乏症で…。死にかけてた…」

そうですか。

「なら、一命を取り留めて良かったですね。私は帰ってきましたよ」

「…!フューニャぁぁぁ…」

ルヴィアさんは、半泣きで私に抱きついてきた。

「全く…私がいないとすぐこれなんですから…」

「うぅぅ…」

「大きな子供で、困ったものですね」

よしよし、とルヴィアさんの背中を撫でる。

「ほら、リビングに行きましょう。ルヴィアさんにお土産もあるんですよ」

「フューニャぁぁ…」

「はいはい、全く…」

半泣きですり寄ってくるルヴィアさんを引き連れて、私はリビングに向かった。

リビングのテレビは、つけっぱなしになっていた。

ふと、私はそのテレビに目が留まった。

丁度、コマーシャルの最中だった。

『あなたは、今の生活に苦痛を感じていませんか?辛いと思うことはありませんか?『天の光教』は、そんなあなたの苦しみを、神の大きな愛の懐で受け止めます…』

新しい清涼飲料水や、テレビドラマの宣伝と同じように。

あの黄色いパンフレットの宗教が、コマーシャルで紹介されていた。

そうだ。だから何処かで聞き覚えがあったんだ。

知らず知らずのうちに、私はこのコマーシャルを見ていたんだ。

『◯月◯日、◯◯ホールにて、教祖様による特別講演を行います。どなた様も、是非お越し下さい』

品の良さそうな女性がそう言い終えると、すぐに新発売のチョコレートのコマーシャルに変わった。

さっきのコマーシャル…。それに、昼間の宗教勧誘の男性…。

そして、『天の光教』…。

何か、良からぬことが迫っているような気がした。
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