【更新停止中】大好きなお菓子を絶ったらダイエットには成功したけど、おかしなお菓子達から愛されるようになりました!?
01
婚約者を選ぶ……!?
☆☆☆
四月下旬。
「田中よ」
天井邸の書斎にて、菓子メーカー・Amaiの重役が真剣な面持ちをして庭を眺めながら後ろにいる世話役に話しかけた。
「はい。旦那様」
この男が、世話役と二人きりでこっそりといる時。
それは、重要な案件が話される時であり、書斎には緊張感が漂っている。
「甘楽ちゃんはーー今、どうしていると思う」
「ーーはい?」
あまりにも暗く、重い雰囲気を出しながら渋い声で言うから、仕事の密偵でも頼まれるのかと思っていた田中。
拍子抜かれ、抜けた声を出した。
この男、重役にして甘楽の父である。
「この間、天馬に会ったんだ」
「天馬様でございますか」
天馬とは、甘楽が通うペガサス学園の理事長。
甘楽の父と理事長は、ずっと同じ学校で勉強、スポーツ、カリスマ性などさまざまなことで競い合ってきたライバル。
そして、今も定期的に飲みに行く昔からの友人だ。
「天馬からーーよからぬことを聞いてしまった……っ!」
「それはーー何用でございましょう?」
グッと拳を握り、感情を露わにする主人に再び緊張感が走り、田中はごくりと生唾を飲み込んだ。