素直と天然と少しの頑固を加えて

克の気持ち②

紗依はすごく気遣いが出来る。
自分のことを疎かにするくらいに。
それにしても自己評価が低すぎる。
今も思い詰めてるようだけど、何も話してくれない。

「何か悩んでることとか聞きたいことあるんじゃない?隠し事はしてないけど、すべて話してるわけじゃないから。聞いてくれれば応えるし、我慢される方が嫌だ」
俯いて、下唇を噛んでいる。
絶対なにか我慢してるでしょ。
隣に座ってたのを俺の膝の上に移動させた。
「ひゃ!」
可愛い、でも何に緊張してるのか判らない。
「話してない事って?」

「例えば、昨日は遅かったから今朝寝坊して、朝飯食べなかったこととか…」
不安にさせることは無いはず。
急にしがみついてきて顔を見せずに、「りんりんさんとお出かけした?」
緊張して震えてる。
耳元で話してくれたから聞こえたけど、すごく小さな声で話してくれた。

忘れてた、この前鈴木さんが何か言ってたこと。
何にもないから忘れてた。
「行ったよ。増田さんと一緒にね」

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