天使の詩(うた)〜divine wind song〜
呼び出されたのは、また例の世界樹の下。
この世界には個室ばかりか、部屋が存在しないのだから仕方ない。
すでに指導官は樹の下で、樹に向かい合うように座っていた。
「セシル、ここへ来て座りなさい」
いつもよりは幾分優しげな声色で指導官は告げる。
セシルは黙ってその隣に、膝を抱えて座った。
しばしの、沈黙が流れる。
沈黙を破ったのは指導官。
セシルの方をちらり見もせず、いつになく穏やかに話し始める。