きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
4 エラ
イングラム騎士団医療部看護士のエラ・ケールが元若様のジェレマイアと言葉を交わしたのは、今のところ1度きりだ。
それは、ジェレマイアが後継から外された嵐が巻き起こる1年程前。
同い年のジェレマイアが王立貴族学院、エラが領都の専門高等学園医療科で、学校は違えども共に学生だった年度末。
高等部3年生という最終学年に上がる前、ジェレマイアが帰省していた夏休みの事だった。
◇◇◇
エラがいつものようにデイヴとおしゃべりをして、医療室から玄関ホールへ向かう廊下を歩いていたら、追いかけてきたのか、背後からジェレマイアに声をかけられた。
彼はご領主様のご子息だから、お顔は何度か拝見したこともあるし、本宅に勤める両親に用事があって訪れた際に王都から帰省したジェレマイアに遭遇すれば、一旦立ち止まって壁際で頭を下げ、彼が通り過ぎるまで控えたこともある。
だが、これまで彼の視線がエラをとらえる事は無かったし、ましてや話す事など、1度として無かったのだ。
ところが。
「その……さっきカーターに話していたクラークとは、どんな奴?」
ジェレマイアがエラに尋ねたのは、クラーク・ライナーについてだった。
それは、ジェレマイアが後継から外された嵐が巻き起こる1年程前。
同い年のジェレマイアが王立貴族学院、エラが領都の専門高等学園医療科で、学校は違えども共に学生だった年度末。
高等部3年生という最終学年に上がる前、ジェレマイアが帰省していた夏休みの事だった。
◇◇◇
エラがいつものようにデイヴとおしゃべりをして、医療室から玄関ホールへ向かう廊下を歩いていたら、追いかけてきたのか、背後からジェレマイアに声をかけられた。
彼はご領主様のご子息だから、お顔は何度か拝見したこともあるし、本宅に勤める両親に用事があって訪れた際に王都から帰省したジェレマイアに遭遇すれば、一旦立ち止まって壁際で頭を下げ、彼が通り過ぎるまで控えたこともある。
だが、これまで彼の視線がエラをとらえる事は無かったし、ましてや話す事など、1度として無かったのだ。
ところが。
「その……さっきカーターに話していたクラークとは、どんな奴?」
ジェレマイアがエラに尋ねたのは、クラーク・ライナーについてだった。