きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 立場を笠に横車を押して、リデルを泣かせてまで。
 好きだと気持ちを押し付ける、そんな自分にはなりたくない。
 しかし、戻ってきた彼を待っていたのは、クラークの浮気でリデルが別れた、と言う話だった。
 ジェレマイアは歓喜した。

 
 この件が落ち着くまでは、誰にも本当の事は言えない、言わないと決めていた。
 身持ちの悪い、ただ美しいだけの男爵令嬢に堕ちた愚か者。
 何人もの男と、1人の女を共有し、挙げ句に婚約破棄を人前で叫び。
 その結果、家門の恥とされて、後継者から外された男。



 人の命が掛かってる。
 テリオスは毒まで盛られた。
 彼が落ち着くまでは、このままでいく。

 厳しくも優しい祖父のようなリーブスにも。
 守るために動いてくれた父のようなデイヴにも。
 こうなった事情を聞かれたが、何も言えなかった。

 出来たら、リデルにも何も話さずにいようと思っていたけれど、それで気持ちを伝えても、信じて貰える訳がない。
 何も言えないけど、信じて欲しいなんて、それは俺の勝手な言い分でしかない。
 
 
 それに気が付いて。
 ジェレマイアは、次にリデルに会えたら、俺の話を聞いて欲しいと頼もうと思っていた。


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