きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 だが、彼がそれを頼む前に、リデルが言ってくれた。
 
 会いたかった。
 貴方と話がしたい。
 何処でも付いていく、と。



   ◇◇◇



 貴方の話を聞きたいと言ってくれたリデルを、ジェレマイアが連れてきたのは、いつもおしゃべりをしたベンチの前を通り過ぎた先にある温室だった。 

 まだ他の人間には聞かせられない話なので、邸内ではなく温室を選んだが、失敗だったかもしれない。


「外よりはましかな、と思ったんだけど、寒くない?」 

「大丈夫、これがあるから」 

 ジェレマイアが贈ったコートの衿には狐の毛皮が付いている。
 これがあるからと言いながら、彼女がコートの両衿を合わせ、毛皮を両頬に当てている幼い仕草がとても愛しくて、ジェレマイアは、じっと見つめてしまう。
 
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