きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 いきなり求婚されても、彼女を驚かすだけだと思い直して、彼は立ち上がり。
 リデルの隣に腰を下ろして、また彼女の手を取ったが、それを避けられなかったので、嫌がられてはいないと安堵した。
 


「リィも聞いているだろう、俺が男爵令嬢を云々、というのを。
 あれは同様に、その女に誘惑されたことになっているテリオス王子殿下と俺が計画した芝居なんだ」

「……誘惑されたことになってる、芝居?」

「殿下は対立する第1王子の派閥から命を狙われていて、馬鹿な王子を演じて王位継承権を失えば、と考えた。
 その狙い通り彼は継承権の返上、王都追放から今はシェイマスの聖教会預りの身の上になっている。
 そして、俺もイングラムの後継者から外れるために、その計画に乗った」

「殿下がそう考えたのは、理解出来るの。
 でも、貴方が外れたいのはどうして?」


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