きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 まだ何も言ってはいないのに。
 遅くなった言い訳をする娘に、デイヴは仕方なく笑顔を向けた。

 お前が話し込んでいたのは、エラじゃないだろ、とは決して口にはしない。
 あの馬車も行きに乗っていった貸し馬車ではない。
 馬車自体は小造だが、引いてる馬はここらで使役される種ではない。
 イングラム騎士団で世話をされている毛並みの良い最上級の馬なのは、遠目でも分かった。
 うまく俺を騙せると思ったか。
 これだから、エラにしろ、ジェレマイアにしろ、ガキ共は詰めが甘い。



「そうか、飯はもう支度したから。
 疲れただろうから、お前はゆっくりしてればいい」

 そう言いながら、リデルの肩を抱き、共に家の中に入る。


「やったぁ、父さんの料理は久しぶりね。
 助かったー」


 リデルの声がいつもより高く明るいのは、きっと後ろめたいからだ。
 普段のリデルは語尾を伸ばしたりしない。  


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