きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~

34 シーナ

 シーナは酒場で、見知らぬ女に声をかけられて。
 リデルの、いやデイヴとリデルのカーター親子の秘密を聞いた。


「あのふたりは、本当の親子じゃないんだよ」

「何を……証拠はあるの?」

「うーん、それを言われちゃ、あれだけど……」


 思わせぶりに言われて、ついもう1杯と奢りそうになる自分を押し止めた。
 結局、ちゃんとした証拠は無いと白状させて、シーナは期待した分、馬鹿馬鹿しくなって。
 こんな女に騙されて、1杯だけでも酒を奢るなんて、どうかしていた。
 
 酒は男に奢られるものであって、女に奢るものじゃない。
 あれもこれも全部、あいつらのせいだ、とますます腹が立つシーナだった。


「あの婆さんが言ってたんだよ。
 デイヴはリデルが実の娘でも無いのに、頭が下がるね、ってさ」

 席を立ったシーナの袖口を掴み、また女が話し出す。


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