きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 そんなジェレマイアの対応はお見通しで、想定内だったんだろう。
 テリオスは真実とも嘘ともつかない曖昧な微笑みを見せて。

 王族専用特別室の特製テーブルの上に、彼が置いたのは。
 自分が身に付けている物にそっくりな銀のピアス。


「例の鏡を使わずに、あれが生真面目なケインをどう堕としたのか、考えていたんだが……叔父貴が北大陸の商会と繋がっている、とあの馬鹿は言っていただろう。
 お前は同志だから、やるよ。
 お前の銀の髪に隠れて、気付かれない。
 あれに誘惑されないように、絶対に着けておけ。
 じゃないと、あいつらみたいに……北から来た魔女に触られちまうぞ」


  ◇◇◇


 大丈夫、これがあれば、俺は大丈夫。


 銀のピアスが光る右耳を、ジェレマイアは触れた。

 これをテリオスから渡され身に着けたあの日から、時々確認するように、耳に触れるようになった。

 
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