きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~

37 リデル

 ジェレマイアからプロポーズされた翌日からの3日間。
 仕事帰りのリデルを、毎日彼は家の近くまで送ってくれた。 
 そして、無事に彼女が家の中に入るのを見届けてから、背中を向けて本邸へ帰っていく。


 ふたりが幼馴染みから新たな関係となった事を、まだデイヴには伝えていないので。
 見つからないようにと注意しながらの、切なくて短すぎるデートはふたりで決めた事だったが、早く堂々と会いたかった。


 ジェレマイアは自分の評判が悪くなったので、一緒にいるリデルまでもが悪く言われぬように、と会う時は髪まで赤く染め。
 リデルが何と言われようとも平気だと訴えても、彼は頑なにフードを被り続けた。
 

 ところが、今日ジェレマイアからデイヴに挨拶したい、と言われて。
 リデルの心は弾んだ。 
 これまで父には何も隠し事をしなかったリデルには、たった4日だが、罪悪感に苛まれる日々だった。
 大っぴらに出来ないのは変わりないが、これでもう父にだけは嘘をつかずに済む。


 巷でよく聞く、娘の恋人が挨拶に来た時の父親の、笑えて、少し寂しい、それでいて幸せなエピソードを思い浮かべて。
 リデルはジェレマイアに知られないように、そっと安堵の息をついた。



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