きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 デイヴには全てを気付かれていたのに、上手く誤魔化せていると思っていた自分が恥ずかしくて、情けなく思うリデルは顔を伏せた。
 今は父の顔を見られなかった。


「デイヴ、ありがとうございます」

 隣に座るジェレマイアが緊張を解いて、安心したように大きく息を吐いたが、次のデイヴの言葉に、また彼は身体を強ばらせた。


「御礼など要らないし、いつもような言葉に戻してくれませんか。
 リデルと違って、私と貴方との関係はまだ変わっていませんよ。
 それと、リデルを任せるのは、また別の話だ。
 貴方は貴族で、リデルは平民です。
 どうしたって、娘は正妻にはなれない。
 貴方は娘に、愛人にするから3年待て、と仰るのか?」

 3年、とデイヴが口にしたのは、ジェレマイアがリデルを愛人として娶りたいと申し込んでいる、と誤解しているからだ。
 それは違う、彼はもう家を捨て、平民になると決めている。
 それを伝えようと身を乗り出したリデルを、ジェレマイアが止めた。
 彼はデイヴの言い分を、ひとまず聞くと決めたようだ。


「それに、リデルは知っているか?
 ジェレマイア様には遠縁のご令嬢との縁談が進んでいる。
 今週末には、その御方の診察を、俺は命じられている。
 そのまま御ふたりは顔合わせをして、婚約となるだろう。
 この事態を、貴方はどうリデルに話したのか、私に説明をして貰えますか?」  

< 157 / 225 >

この作品をシェア

pagetop