きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 それに気付いた時、ようやくリデルの中の自分だけが取り残されるような焦燥感は消え、ただジェレマイアの計画がうまく行きますように、とそれのみを祈るだけになった。



 腹が膨れると眠くなってしまうから、と夕食を断ったジェレマイアだったが。
 無事を祈願すると言ったデイヴからの1杯のワインは受け取った。
 お酒は得意ではないリデルも飲むことにして3人でグラスを合わせ、別れの時間になった。


 ここから見える道の先までリデルのみが見送ることにして、デイヴとジェレマイアは家の前で握手をした。

 ジェレマイアは来た時のスマートなマント姿ではなく。
 若かりし頃のデイヴが雪国で購入した雪国仕様の厚手のウールコートの上に、例の毛皮で裏打ちされたマントを羽織り。
 下は元々履いていた細身のスラックスに、同じく雪国仕様のウールのズボンを重ねて履いていた。
 足元は内側と履き口に毛皮が付いている頑丈そうなブーツに変わり、仕上げは耳当ての付いた毛糸の帽子と背中に背負った袋。
 普段のジェレマイアからは程遠い、あか抜けない着膨れた姿だった。

 おまけに、右手にはかんじきと、左手には携帯用のランタンを下げ。
 どこから見ても、山から降りてきた猟師にしか見えなかった。
 



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