きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 そんな風に、ジェレマイアが居なくなった本邸では、変化はあったが。
 領内においては、何の変化もなく。


 父デイヴと親友エラは、変わらずに医療部に勤務して。
 リデルも南区治療院の看護士の仕事に精を出していた。


 あの日、ひとりの女性に会うまでは……


  ◇◇◇

 
 リデルはその日、シェリー・ガイルズ、かつてのシェリー・オドネルと会っていた。

 高等学園時代からの恋人マーティン・ガイルズと結婚したシェリーは、今やガイルズ洋品店の若奥様で、その上子供が授かった事が分かり、幸せ真っ只中の状況を楽しんでいた。


「あのドレスがあなたにすごく似合うように、仕立て直されているのを見た時、ようやく諦めが付いたの。
 お義母さんからはずっと、作るのではなく売る方に専念して、と言われていたんだけど、諦めたくなくて意地になってて。
 でも、あれを見たらね、あー、わたしには才能がないってつくづく思い知らされたわ」


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