きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 その後、期待した通りにクリストから寮に分厚い調査結果が送られてきた。
 それを読み、ベアトリスは満足気に、笑いを漏らした。

 ジェレマイアの幼馴染みとして書かれていた、看護士のリデル・カーター。
 何故か、関係者の中で彼女の事が引っ掛かったのだ。


 もし、今は彼女とジェレマイアとの間に何も無くても、有るようにすればいい。
 リデルが看護士というのも気に入った。
 クリストに、リデルについて重点的に調べるように、と手紙に書いた。



 そうして、来たる日をベアトリスは楽しみにしていたのに、その梯子は外された。
 イングラムに戻ってからはおとなしくしていたはずのジェレマイアの突然の出奔は、彼との婚約、いや念願の養子縁組の2日前の事。
 後は本邸で健診を受けて契約して、両家の顔合わせをするだけだった。


 前日にその知らせが来て。
 ご領主様様からの簡単な状況説明が記された、手紙というより一方的な言い渡し状を、たった1枚送られただけで。

 簡単に養子縁組の話は、取り止めにされ。
 簡単にベアトリスの望みは、潰えた。

 もう少しだった、後少しだった……のに。




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