きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 黒髪の女性だと、書いてあった。
 おとなしそうな印象の女性だとも。


 近付いてみれば、確かに着ている服の色合いは地味だか、持っているバッグや履いてる靴のセンスはいい。
 容姿もよく見れば整っている。


 良かった、好きになれそう、とベアトリスは安堵した。
 生理的に合わない女じゃなかった事に安堵したのだ。



「はじめまして、わたくしベアトリス・ウエストヒルと申します。
 貴女がジェレマイア様の恋人のリデル・カーターさんね?」

 そう自己紹介をして、リデルに微笑めば。


 ベアトリスの事を知っているのか、知らないのか、判断はつかないが。
 彼女は目を丸くして、驚いていた。


 ベアトリスは貴族特有の持って回った言い回しは、得意ではないし、リデルに対して使用しない方がいい、と考えた。
 彼女が自分に協力してくれるなら、これから付き合いは長くなる。
 綺麗な建前を並べるより、本音を伝えようと思っていた。


「ごめんなさいね、わたくしの事は御存じないのかしら?
 ジェレマイア様との婚約を申し付けられていた……
 いえ、あの方に代わって、イングラムの次期領主を打診されて。
 契約の2日前に、あの方に逃げられたので、それを白紙にされた女です。
 ……貴女、あの方を呼び戻してくださるかしら?」
 
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