きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
「そう……お前も見かけによらず、強気で馬鹿な女ね。
 あくまでもあの男との関係を認める気がないのなら、いくら頼んでも無駄だもの、帰るわ。
 気が強い女は嫌いじゃないけれど、馬鹿な女は嫌いなの。
 これからの長い人生、わたくしの手を取らなかったことを後悔すればいい」
 
「……」

「最後にひとつ、お別れに良い事を教えて差し上げるわ。
 リデルさんの事を調べた、と言ったでしょう?
 貴女のまわりを、うろつく女が居たの。
 何でも、リデルさんの子供の頃を知ってる女だと言っていた。
 お金を少し見せただけで、喜んで話したの。
 その後に、もう余計な事を話せないようにしてあげたけれど、御礼はいいわ」


 最後にひとつ、とベアトリスが話し方を元に戻したのが、底知れない彼女の闇を感じさせた。  
 もう余計な事を話せないようにしてあげた……それが何を意味するのかはリデルにも分かる。
 この話の続きは、聞かない方がいいのでは……


「……これは貴女とジェレマイア様の事を想っての忠告だから、よくお聞きなさい。
 あの方の子供を産みたいのなら、先ず貴女のお父様ということになっているデイヴさんに確認した方がいいわ。
 わたしを何処で拾ったの?って。
 子作りには、お互いの血筋の確認は大切な事よ、魔女さん?」
 

 
 こんなに怖い笑顔のひとの話には、耳を傾けてはいけない。


 分かっていたのに、リデルは耳を傾けてしまった。

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