きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 再び髪を染めて、ブーツを自分の物に履き替え、マントを羽織り、受付を通れば。
 さっきは彼を睨み付けた女が、今は口を開けて、通り過ぎる彼を見ていた。


  ◇◇◇


 この国の各領に点在するサンペルグ聖教会を統べるシェイマス大聖堂は、聖都シェイマスのほぼ中央に位置する。
 イングラムを立って10日後、ようやくジェレマイアは大聖堂の西門前にたどり着いた。


 白く輝く大聖堂の周囲には、装飾的でありながら頑丈な鉄柵がぐるりと張り巡らされ、四方に検問所が設けられて、そこには屈強な聖騎士達が詰めている。
 彼等は大聖堂を一目見ようと集まる観光客が馬鹿な真似を仕出かさないよう目を離さない。
 

 国王陛下も簡単には手出しが出来ない、その華麗にして荘厳なる神の住まう大聖堂を見上げ、ジェレマイアは大きく深呼吸をした。
 実はジェレマイアは昨日到着していて、昨夜は素泊まり宿ではなく、1泊2食の宿に泊まった。
 睡眠も領地を出てから初めて落ち着いて取れ、髪色も元に戻し、普段のジェレマイアに戻って、ここを訪れたのだ。
 

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