きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 この国のサンペルグ聖教会の最高位に座す大主教アリステア聖下は現国王陛下の叔父で、テリオスにとっては大叔父に当たる。
 王家の男子は通例第2王子が宗教的役割を担う事とされており、本来ならばテリオスは貴族学院ではなく、総本山サンペルグ聖国にある最上位の神学校に入校するはずだった。



「ほら、例の禁断の鏡事件があっただろう。
 あれのせいで、王弟って肩書きの奴は城に置いてはいけないって、なったんだが。
 当時国王陛下は御身体が弱かったから」

 先代の国王陛下がスペアの第2王子だったゴードンの父を聖職者にする事を良しとせずに、王子に継承権を保持させた上で公爵位を与え、王族のままにした。
 そして、テリオスの父である当代陛下もそれに倣い、未だにテリオスは第2王子殿下で、おまけに婚約者まで居る、と彼は説明した。


「ユーシスは虚弱でもないのに、王妃の邪魔をしたいばかりに、俺は第2王子のままで、毒まで盛られる」とテリオスはジェレマイアに愚痴を溢した。
 
 あれに篭絡された俺は継承権を取り上げられ、その後は、多分シェイマス送りだな、とテリオスは続ける。


「神の御元で穢れた魂を浄化する、とか綺麗な言葉で尤もらしく言って、聖下は俺を引き取ろうとするだろう。
 2代続けて母国の王子を聖職者にしないとなると、聖国の教皇猊下に顔向け出来ないからだ。
 俺を監視下に置いて、基本的な試練を受けさせて、特別枠で神学校に送り込むってことだ」

 
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