きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 やらかし後の自分の先行きを他人事のように話すテリオスを、ジェレマイアもまた、
『ではこのひとは、将来はこの国の大主教か』と他人事だと聞いていた。


「お前はどうするの、家から出たいんだろ?」

「……」

 リデルを連れてね、と心の中で答えるが、それは絶対に口にしない。


「出たら、俺のところに来たらどうだ?
 知り合いも居ないところで1から始めるのはきついぞ。
 卒業してからも俺の顔を見るのは嫌かも知れないが、ずっとじゃなくてもいい、そこから次へ行けば?」

「私に聖職者は、無理です」

 そんなものになったら、リデルを娶れなくなるだろ、とまた心の中で返事をする。


「はぁ、当たり前だよ。
 お前が大聖堂の聖職者見習いになれるはずがないだろ。
 王族以外なら、ちゃんとサンペルグ神学校を成績優秀で卒業した奴だけだ。
 お前は剣も体術も仕込まれているし、俺の護衛にでもなれよ」


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