きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 イングラムからこの西門にたどり着くまで大変だったが、この先が更に大変だとジェレマイアは覚悟していたのだが。
 思っていたよりも早い時間で、検問所での足止めは解かれて。
 上級信徒にしか、その扉は開かれない、と聞く大聖堂の内部に入る事が出来た。


 とは言っても、本当にテリオスに会えるのかは、まだ分からなかった。
 ここの最高権力者、大主教アリステア聖下の監視下に置かれる、とテリオス本人も言っていたから、会わせることは禁じられ、このまま地下牢に一生……も考えられるからだ。


 聖騎士に先導され歩く長い回廊の壁の片側には、複雑かつ繊細に名工により仕上げられた何百ものステンドグラスを嵌め込んだ窓が続き、外から午後の光が差し込んでいた。

 身体検査をされて、護身用の短剣なども預けて。
 現状ジェレマイアの身を守る武器は、テリオスから預けられたこの指輪しかない。
 


 喧騒を離れて、時を忘れて、静かに歴史を重ねていくこの場所を歩けば。
 信仰心を持たないジェレマイアも、流石に厳かな気持ちになるのだった。


 長く美しい回廊を抜け、幾つかの角を曲がると。
 ジェレマイアの先を歩く聖騎士の足が一旦停まった。 

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