きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
「女に興味の無いお前をからかうネタになれば、と調べさせて彼女の存在を知った。
 領地に居た頃、お前が心を許していたのは、たった3人。
 家令と御抱え治療士と、その娘。
 ……お前にとって特別なひとなのは、分かっている。
 だから利用しようとしたんじゃない。
 お前が北に行けば、彼女がその気になれば。
 戻れる、と伝えたかった」

「……」

 返事もせずに立ち上がりかけたジェレマイアの服を掴んで、慌てて一気に話すテリオスは、これまで余裕のある姿からは、想像もしていないものだ。
 それでも、まだジェレマイアは彼が信用出来ないので、座るテリオスを見下ろしたまま。


「俺が北に行けば? リデルがその気になれば? 戻れる?
 お前、何を言って……」

「取りあえず、座ってくれ、落ち着かない。
 これからちゃんと話す」

 そう言われて仕方なく、もう一度座るが。 
 ジェレマイアの青い瞳は、相変わらずテリオスを睨んでいた。

 
 いつも、どこか冷めていて。
 内心では色々考えてはいても。
 何に対しても、それほどの反応を表に出さない。
 そんなジェレマイアだったのに、リデル・カーターの名前が出た途端に、こんなに激しさを見せるとは。


 テリオスからしても、自分に対して無意識にお前と言った、こんなに余裕の無いジェレマイアの姿は想定外のものだった。


「こんな感じのを、彼女のまわりで見なかったか?」

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