きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~

45 リデル

 思い返して見れば、子供の頃から何度も言われた事がある。


「リデルは貰われっ子のくせにさ、生意気なんだよ!
 わたしの母さんが言ってたもん!」 

「……そんなことない、嘘つかないで!」

「だってあんた、お父さんと全然似てないよ!
 何、その真っ黒な変な髪の毛!」


 仲良くしている時には言わない意地悪も、喧嘩をすればぶつけられてしまう。
 攻撃の対象は、皆とは違うリデルの髪色になることが多かった。

 お前の髪は変だ、気持ち悪いと言われて。
 自分達とは違う、異質なものを子供は嫌う。
 その頃住んでいた地域の初等学校では、男子に髪を掴まれた事もあるし、クラスを仕切っていた女子達に囲まれて、伸ばしていた髪をはさみで短く切られそうになった事さえあって。


 幼いリデルにとっては色素の薄い人々の中で、どうして自分だけが、こんなに暗い色を持っているのか。
 納得出来なくて、泣きながら金色の髪の父に訴えた。

 デイヴの答えは、亡くなった母が黒髪だった、なので。
 こんな髪なんか欲しくなかった、嫌だ、と繰り返すリデルを抱き締めて。
 ようやく泣き止んで落ち着いた頃を見計らって、娘に母が遺したという護符を見せた。


< 201 / 225 >

この作品をシェア

pagetop