きみは、俺のただひとり ～神様からのギフト～
　　◇◇◇


　いきなり、リデルを訪ねてきて、自分勝手な将来設計を語り。
　彼女にその協力を強いてきたベアトリス・ウエストヒル男爵令嬢から、忠告として。
　　
「お父様ということになっているデイヴ」に。
「何処で拾ったか」聞いてみろ、と言われ、最後に
「魔女」と呼ばれたリデルは言葉のナイフで、心を貫かれた気がした。


　ベアトリスは、それを
「リデルの子供の頃を知っている女」から聞いて。
「もう余計なことを話せないように」した。


　それは、協力をさせるつもりだったリデルの事を守ろうとしての、その時点ではベアトリスの好意からだったのだろうけれど、今となれば。
　その女の人物も背景も、リデルのまわりをうろついていたと言う理由も、何ひとつ分からなくなってしまった。


　つまり、それが真実にしろ、偽りにしろ。
　リデルが確認したいのなら、父に直接尋ねるしかもう方法は残されていない事を意味した。


　ベアトリスの言い方では、デイヴとリデルは実の親子ではない。
　それは、昔から何度も言われた事で、今更父に確認する事でもない。
　それをリデルが口にすれば、
「大人になっても、まだ言うか？」と笑われてしまうくらいに、子供の頃のリデルは何度も確認してきた。

　しかし、それは『貰われっ子』と言われたからで、今回のベアトリスが言ったのは、拾われた、だ。
　初めて、捨て子、と言われたリデルは、その事がいつまでも頭から離れなかった。


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