きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
「……俺がお前を看取ってやるから、と言ったら。
 それは楽しみにしております、とあいつは言ったんだ。
 ……何か悔しいな、最後に父親にリーブスを取られた。
 だけど多分、向こうも俺にリーブスを取られた、と悔しかったんだろうな。 
 父親は先代からも息子からも妻からも、縁遠い人間だから……
 ……まぁいい、リーブスがひとりじゃなかったんなら……
 それでいい」

 聞いている方が苦しくなるような。
 それでいて、どこか安堵したような。
 そんなジェレマイアの背中を、リデルはそっと撫でた。



 本当はジェレマイアとこうして再会出来て、また手を繋げて歩けるようになって。
 ベアトリスの言った事なんか、聞いていなかった事にすれば、このまま彼とこの先も歩いていけるのは、分かっていた。
 もう余計な話をする女も話せなくなったのだし。
 リデルさえ、黙っていれば、この幸せな道は続く。


 一緒に考えて欲しい話をするのは、もう止めようと、半ば決めたリデルだったが、リーブスを想い、涙するジェレマイアを見て。
 やはり、彼には伝えないといけないと考え直した。
 リデルは、もっと強くなりたい、と決めたから。  
 

 もしかしたら、また身長が伸びたかもしれないジェレマイアを見上げて、
「わたしは捨て子で、魔女かも」とリデルは告げた。


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