きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 最初から、と。
 つい感情が昂ってしまって、自分が口を滑らせてしまったとジェレマイアは気付いて、直ぐには返事を返さなかったが。 
 自分を見上げるリデルの瞳には誤魔化せない、と悟って話すと決めたようだった。



「……君を見つけたのは、俺だったから。
 君は、湖に置き去りにされて泣いてた。
 俺がリィを、拾ったんだ」
 
「貴方がわたしを拾った……」

 思いも寄らなかった事を言われて、呆然としているリデルを、ジェレマイアは強く抱き締めた。
 強く強く、彼女が絶対に離れて行かないように。

 
「その時から、この子を捨てた奴には返さない、代わりに俺が絶対に絶対に、この子を大事にする、って決めた」

「……」

「覚えてる? リィ。
俺の気持ちは重過ぎると言ったのに、君は引き受けてくれた。
 君を見つけたあの日から、俺は君だけを見てる。
 だから、こんな男からはもう逃げられない、と諦めてくれないかな。
 身を引くとか、いくら言われても、離さないよ」


 若干の闇を感じさせるジェレマイアに、慌てたリデルは
「そうじゃなくて、本当は黙って身を引くべきなのかもしれないけれど、どうしてもわたしは諦めたくない。
 貴方に相応しく無いけど、これからも努力する、と本当は言いたかったのに」と早とちりな彼に、話そうとしたのだが。


 それを伝える前に、また。
 
 リデルの唇は、ジェレマイアに塞がれた。


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