きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~
 ジェレマイアは、話を続けた。


「デイヴが戻ってきて、大人が来たから安心したのか、急に君は倒れた。
 俺に会うまでひとりでさ迷っていたみたいで、疲れと空腹で限界だったんだろう、熱を出して。 
 デイヴは、一目で君をこの国の人間じゃない、と分かって、じゃあどうするかみたいになって、俺は君が欲しかったから連れて帰りたい、と言ったのに。
 反対されたデイヴに、君を取られた」

 ジェレマイアは短い文節で言葉を繋げていく自分を、子供のようだと我ながら呆れてしまうが。
 これ以上、上手く話せそうもない。
 ただ、正直にその時の状況や、自分の気持ちを伝えようとすると、不器用な拙い話し方になってしまうのだ。


「取られたって……欲しかったから、連れて帰る?
 捨て子の女の子を、奥様が帰っている本邸に連れて行く気だったの?」

「デイヴなら、何とかしてくれるんじゃないかと思ったんだ。
 でも容姿と君が持っていた護符の文字から、おそらく君は北大陸の人間だから、少なくとも母親が領地に居る間は絶対に無理だろう、って。
 君の熱はどんどん上がって、手を当てたデイヴはこれは私には専門外のような気がすると言って、北から移ってきた婆さんに君を診せた」


 この国では、皆が持てないその力を厭う奴等が居るが、リデルの力は誇ってもいいものだ。
 それ故、ジェレマイアはここからリデルの力については、何も隠さないと決めた。


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